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ごぼう [か行]

  日本薬局方に牛蒡子(ごぼうし)という生薬が記載されている。これは野菜の牛蒡の種子で、発汗・利尿作用を有している。もともと牛蒡は、薬草として、古くに中国から伝わったものだが、日本ではその根が野菜となって、煮物、きんぴら、かき揚げ、柳川鍋、きりたんぽ鍋と、日本料理には欠かせない食材となっている。最近ではサラダの人気も高い。
  ところが牛蒡の根を食する習慣は日本独特のもので、中国では生薬としてしか牛蒡を利用しておらず、欧米人に牛蒡をふるまうと木の根を喰わせられたと誤解を招いたりする。なお、若い葉は食べるそうだ。
  野菜の牛蒡に対して、山ごぼうなるものがある。味噌漬けやたまり漬けにすると美味であるが、この山ごぼうはモリアザミなどのアザミの仲間の根である。実は牛蒡はアザミと同じキク科の植物で、花はアザミとよく似ている。しかし、この山ごぼうは食物の名称であって、植物の名称ではない。
  植物名のヤマゴボウは、ヤマゴボウ科、ヤマゴボウ属にヤマゴボウ(中国原産)があり、立派な根を持っている。江戸時代に食用として導入されたが、今では、わずかに日本で野生化している。日本産ではマルミノヤマゴボウがあるが数は少ないようで、いたるところに見るのは北アメリカ産のヨウシュヤマゴボウだ。
  ごぼうの名を持つ日本の植物としては、他にアブラナ科のスカシタゴボウ、サクラソウ科のミヤマタゴボウ(別名ギンレイカ)がある。さらに、帰化植物にはアカバナ科のヒレタゴボウ、タゴボウモドキがある。タゴボウとはアカバナ科のチョウジタデの別名で根が牛蒡に似ているからという。

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ヨウシュヤマゴボウ 2011.9.10. 大阪府堺市

だいこん [た行]

  アブラナ科の野菜、ダイコン(大根)は、とても古くからある野菜で、古事記や日本書紀に、既に「おほね」として登場している。記紀では、於朋泥、淤富泥、意富泥などと表記されているが、やがて大根(おおね)と表記されるようになり、ダイコンと呼ばれることになる。
  ダイコンの名が付く植物はアブラナ科、バラ科、キク科にあり、アブラナ科には、ハナダイコンとハマダイコンがある。ハナダイコンは、別名、オオアラセイトウ、ショカツサイとも呼ばれるもので、江戸時代に観賞用に導入されたものだが、現在では、帰化植物となって広く繁殖している。ハマダイコンは海岸の野生植物だが、野菜のダイコンが野生化したものと考えられている。
  バラ科には、ダイコンソウとその仲間があり、根生葉が野菜のダイコンの葉に似るからという。オオダイコンソウ(大大根草)というものがあり、さぞかし大きい大根が採れそうだが、そんなことはない。キク科にはヌマダイコン、オカダイコンがあり、やはりダイコンに葉が似ているからという。
  話しを戻して、古事記に登場する大根は、仁徳天皇の歌に現れ、白く美しい女性の腕の形容として用いられている。今では太い女性の足の形容となっている大根、昔は細かったのか、それとも女性の腕が太かったのか。

<だいこんの名を持つ植物>
アブラナ科:ハナダイコン(帰化)、ハマダイコン。バラ科:オオダイコンソウ、ミヤマダイコンソウ、ダイコンソウ、コダイコンソウ、カラフトダイコンソウ。キク科:ヌマダイコン、オカダイコン。

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ハマダイコン2011.6.8 大阪府阪南市

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