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やく [や行]

 「やく」という文字を含む植物名は、ほとんどが屋久島産を意味する「屋久」なのだが、いくつか「薬」を意味するものがある。本当に薬効を持つものもあればそうでないものもあるが、まずは日本薬局方に記載される正式な薬となるものにシャクヤク(芍薬)がある。その根が生薬の芍薬となる。中国からの移入種で、在来の近縁種にヤマシャクヤクとベニシャクヤクがあるが薬にはならない。同じく中国産のテンダイウヤク(天台烏薬、クスノキ科)は根が生薬の烏薬となる。コウシュウウヤク(衡州烏薬、ツヅラフジ科)は別科の在来植物だが葉の形が似ているためかこの名で呼ばれる。当然のことながら烏薬にはならない。後は民間薬の類となるが、ズダヤクシュ(喘息薬種)は咳止めとして使われたという。イチヤクソウ(一薬草)は、これ一つで諸病に効くという意味らしく、いくつも効能がある。 トウヤクリンドウ(当薬竜胆)の当薬と竜胆(りゅうたん)は、ともに健胃薬となる生薬である。ちなみに当薬とはセンブリのこと。「やく」ではないが「メグスリノキ(目薬の木)」というものもある。クスノキは「薬の木」が名の由来といわれる。最後に薬ではないが薬に関連したものとして、クスダマツメクサ(薬玉詰草)の花の形は開店祝いの薬玉のように丸いが、そもそも薬玉は、様々な薬を束ねた魔よけであり、端午の節句に飾られた。ヤクシソウ(薬師草)の名の由来は、医薬の仏として信仰される薬師如来の光背にその葉を見立てたというが、薬効もあるもかもしれない。

<薬が名になった植物>
芍薬:シャクヤク、ヤマシャクヤク、ベニバナヤマシャクヤク。烏薬:テンダイウヤク、コウシュウウヤク。当薬:トウヤクリンドウ。薬種:ズダヤクシュ。一薬:イチゲイチヤクソウ、コイチヤクソウ、コバノイチヤクソウ、ベニバナコバノイチヤクソウ、カラフトイチヤクソウ、ベニバナイチヤクソウ、ムヨウイチヤクソウ、イチヤクソウ、オオベニイチヤクソウ、ヒトツバイチヤクソウ、エゾイチヤクソウ、マルバイチヤクソウ、ベニバナマルバイチヤクソウ、ジンヨウイチヤクソウ。薬玉:クスダマツメクサ。目薬:メグスリノキ。薬師:ヤクシワダン、ヤクシホソバワダン、ヤクシアゼトウナ、ヤクシソウ、ハナヤクシソウ、イワヤクシソウ。その他の薬:クスノキ

ヤマシャクヤク20180505滋賀県多賀町霊仙山.jpg
ヤマシャクヤク 2018.5.5 霊仙山

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