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じがばち [さ行]

「ジガバチソウの名の由来は花の形がジガバチに似ているから。それじゃあジガバチの名の由来はというと、この蜂が獲物を土の中に埋めるときの翅音(はおと)が『じがじが』と聞こえるからという。なるほど、さて漢字表記は『似我蜂』。え、なぜ『似我』?」
 ジガバチは狩バチであり、幼虫の食料となる獲物(青虫)を捕らえ、毒で麻痺させ、卵を産み付けて土中の巣穴(幼虫室)に埋める。そして土中で孵化し、獲物を食べつくした幼虫は蛹となり、羽化して土中から現れる。このような寄生バチの生態が解明される前の大昔、埋めた青虫が蜂になるのは、埋める際に「似我似我(我に似よ、我に似よ)」と呪文を唱えるからとされた。
 儒教の経典の一つである「詩経」には、『ジガバチが青虫を呪文により蜂にするように、我が子を教え諭し、親に似させなさい』という意の記述があり、孔子の教えにより弟子たちが師である孔子に似ていくことと解釈され、君主による統治には民衆の教化が大切であることの例えともなっていく。さらに仏教では、理屈は分からずとも一心にお経を唱えることによって仏に近づけるという例えとなり、「似我の功徳」という格言を生むに至る。
 植物の名前のはずが、昆虫の名前の覚書となってしまった。

参考文献:井上治彦(2017)ジガバチの系譜、伊丹市昆虫館研究報告、第5号、pp.13-18.

ジガバチソウ20220609観音峰山2.jpg
ジガバチソウ 2022.6.9 奈良県天川村観音峰山

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