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みちのく [ま行]

 観光キャンペーンを打つなら『東北へ行こう!』より『みちのくへ行こう!』の方が情緒ある旅に聞こえる。そんなこともあってか、現代では「みちのく」といえば東北地方というイメージがある。しかし、東北地方は、江戸時代には現在の青森・岩手・宮城・福島県域の奥州こと陸奥国(むつのくに)と、秋田・山形県域の羽州こと出羽国(でわのくに)からなり、みちのくは陸奥国の別称であった。陸奥は古くは道奥と表記され平安時代には「みちのく」と読まれているが、律令制に基づく国が地方に配置された時代は、まだ東北地方すべてが大和の政権に従っていたわけではなく、大宝律令制定(701年)の頃の陸奥国は福島県以北の辺境の地であり、実際の支配範囲は宮城県南部までと考えられている。その後日本海側に山形県以北の辺境の地である出羽国がおかれ、江戸期に繋がる国の形ができるのは鎌倉時代に入ってからのことである。
 植物名に地理的な分布の意味を持たせるため律令国の名をつけることが多いと聞く、現在の都道府県境よりもより地形・地理を反映するものであるからだろう。実際に、「みちのく」、「むつ」、「では」を名に持つ植物種を数えると、それぞれ14、2、3種。明治の初めには、出羽は羽前・羽後の2国に、陸奥は陸奥・陸中・陸前・磐城・岩代の5国に分割されているので、これらについてみると、羽前:0、羽後ウゴ:3、陸奥:2、陸中:2、陸前:0、磐城:4、岩代:1。現在の県名についてみると、山形:0、秋田:2、青森:4、岩手:5、宮城:1、福島:2となる。「みちのく」だけが多いのは範囲が広いからだろうか。ならば東北と奥羽はというとどちらも0である。植物名つけるなら『トウホク○○』より『ミチノク○○』の方が・・・。

<みちのくの国と県名を持つ植物>
みちのく:ミチノクシロヤナギ、ミチノクキツネヤナギ、ミチノクサイシン、ミチノクエンゴサク、ミチノクネコノメソウ、ミチノクナシ、ミチノクアキグミ、ミチノクコザクラ、ミチノクコゴメグサ、ミチノククワガタ、ミチノクヤマタバコ、ミチノクフクジュソウ、ミチノクハリスゲ、ミチノクホンモンジスゲ.陸奥(むつ):ムツアカバナ、ムツノガリヤス.陸中:リクチュウナナカマド、リクチュウダケ.陸前:なし.磐城:イワキハンノキ、イワキハグマ、イワキノガリヤス、イワキアブラガヤ.岩代:なし.出羽:デワノハゴロモナナカマド、デワノトネリコ、デワノタツナミソウ.羽前:なし.羽後:ウゴツクバネウツギ、ウゴアザミ、ウゴシオギク.青森:アオモリミミナグサ、アオモリマンテマ、アオモリトドマツ(オオシラビソの別名)、ホソミノアオモリトドマツ.岩手:イワテハタザオ、イワテヤマナシ、イワテシオガマ、イワテヒゴタイ、イワテザサ.宮城:ミヤギノハギ.福島:フクシマナライシダ、フクシマシャジン.秋田:アキタブキ、アキタテンナンショウ.山形:なし.

ミチノクエンゴサク20220325バンビライン.jpg
ミチノクエンゴサク 2022.3.25 勝山市バンビライン

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