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つの [た行]

 角といえば、鹿の角、牛の角。カブトムシやカタツムリにもそう呼ばれるものはあるが、元々は獣のもの。架空の生き物に付けられることもあって、日本では鬼の頭には牛の角が、西洋では悪魔のあたまに山羊の角が生えている。植物にあるかといえば、棘はあっても角はないが、角にみたてられる部位があって、わずかではあるが、角を名前に持つものがある。なお、角があるから「オニ・・・」とか「ウシ・・・」という植物はない。
 まずはツノハシバミ(角榛)、その実には一本の角がある。次にイワタバコ科のツノギリソウ(角桐草)、この植物の学名はHemiboea bicornutaで、bicornuta は2つの角があるという意味だが、どこにも角が見当たらない。2つ着けることが多い白い筒型の花を指しているのかと思う。日本在来種はこれだけである。
 帰化種はやや増加傾向で、環境省リスト(1988)にはツノキビ、日本帰化植物写真図鑑(全国農村教育協会2001)にはツノアイアシ、ツノミチョウセンアサガオ、ツノミナズナの記載があるが、同第2巻(2010)にはツノゴマ、ツノナシビシ、ツノミオランダフウロなどが加わっている。角無し菱以外はどこかに角があるはずだ。

<角みたいなものがある?植物>
在来:ツノハシバミ、コツノハシバミ、オオバツノハシバミ、ツノギリソウ.外来:ツノキビ、ツノアイアシ、ツノミチョウセンアサガオ、ツノミナズナ、ツノゴマ、キバナツノゴマ、ツノナシビシ、ツノミオランダフウロ.

ツノハシバミ20140911大和葛.jpg
ツノハシバミ 2014.9.11 大和葛城山

 [さ行]

 ここで扱う「じ」は文字の「字」。「字」が単独で植物名に用いられていることはなく「○○字」となる。植物のどこかの部位が「○○字」の形に似ている。まずは十文字、ジュウモンジシダは葉の形が十文字。ユキノシタの仲間の花は5枚の白い花びらのうち下側の2枚が大きいが、この2枚が細長いのがジンジソウ(人字草)、他の3枚も少し長くなったのがダイモンジソウ(大文字草)。ヒンジモは3枚の葉が、ヒンジガヤツリは3個の花穂の重なり具合が品の字に見える。デンジソウは、四葉のクローバーのような葉を田の字に見立てたもの。「ちょうじ」は「丁字」と「丁子」の両方の漢字があてられるが、そもそも「ちょうじ」は、フトモモ科のチョウジノキの蕾を乾燥させたスパイスであり、英名はクローブ。その形が釘に似ており、フランス語で釘を意味する Clou が語源となっている。漢名は丁子あるいは丁香と呼ばれ、丁もまた釘という意味を持っている。「ちょうじ」が名前に付く植物は、花あるいは実が釘の形に似ている。ということは「丁」の字の形にも似ていることになるが、日本語では丁字型を意味する場合は、「ていじ」と発音するのが普通のようなので、本来はスパイスの丁子に似ているからなのであろう。

<文字に似ている植物>
十文字:ジュウモンジシダ、タイワンジュウモンジシダ、ヒトツバジュウモンジシダ.人字:ジンジソウ、ツルジンジソウ.大文字:ダイモンジソウ、ウチワダイモンジソウ、ナメラダイモンジソウ、エチゼンダイモンジソウ、イズノシマダイモンジソウ.品字:ヒンジモ、ヒンジガヤツリ.田字:デンジソウ、ナンゴクデンジソウ.丁字?:チョウジギク、チョウジタデ、ウスゲチョウジタデ、チョウジザクラ、オクチョウジザクラ、チョウジマメザクラ、チョウジソウ、チョウジコメツツジ、オオチョウジガマズミ、チョウジガマズミ、セキヤノアキチョウジ、アキチョウジ、ヒロハアキチョウジ.

デンジソウ20120602浜寺公園(植栽).JPG
デンジソウ 2012.6.2 堺市浜寺公園(植栽)


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