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ばいも [は行]

 コバイモという種群がある。カタカナの表記からは「コバ芋」やら「コバイ藻」を想像してしまうが、実は小さい貝母の「小貝母」である。貝母は、鎮咳・去痰などの薬効を持つ生薬であり、ユリ科バイモ属のアミガサユリFritillaria verticillata var. thunbergii(中国名:浙貝母)の球根(麟茎)である。白色の鱗片2枚が貝のように合わさり、間に子供の球根ができるのでこの名がある。日本に自生はなく、日本にあるのは同属のコバイモ8種である。バイモ属の学名のFritillariaはサイコロのツボの意で花の形から来ている。前川文夫はこの花を傾いた籠と見て、万葉集に現れ、定説ではカタクリの古称とされている堅香子(かたかご)をコバイモだとし、コバイモの麟茎が2つに割れた形から着いた別称がカタクリ(片栗)と唱えた。つまり堅香子=片栗であるが、片栗は小貝母の古称であり、現在のカタクリは、食用とされた小貝母の減少により代用品となって名を継いだとしている。とても説得力のある説である(クリの項参照)。

参考文献
・原島広至、生薬単、NTS、2007.
・前川文夫、植物の名前の話、八坂書房1994.

<ばいもを名に持つ植物>
ホソバナコバイモ、イズモコバイモ、ミノコバイモ、カイコバイモ、コシノコバイモ、アワコバイモ、トサコバイモ、トクシマコバイモ

トクシマコバイモ20220409大河原高原S.jpg
トクシマコバイモ 2022.4.9 大河原高原

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