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せいばん [さ行]

 セイバンナスビとセイバンモロコシ、どちらも帰化植物なので、セイバンの方から来たという意味合いと思うが、このセイバンの指す場所は両者で異なる。ナスビの方は「生蕃」で、台湾の原住民のうち漢族化していないものを指す。なお、漢族化したものは熟蕃という。「蕃」には未開人の意味があり、漢民族が異民族に対して用いた蔑称のひとつである。ちなみに日本が台湾を領有した時代には、生蕃という称呼を高砂族と改めている。セイバンナスビの原産地は、かつては熱帯アジアとされたようだが、現在では熱帯アメリカあるいはブラジルとされている。日本へは台湾を経由して入ってきたと考えてもおかしくはない。一方、モロコシの方は「西蕃」で、これはチベット人を指して漢民族が用いた蔑称である。セイバンモロコシはヨーロッパ地中海沿岸地方を原産地とするが、シルクロードでやってきたとすれば、チベット経由と言えないわけでもない。

<せいばんが付く植物>
セイバンナスビ、セイバンモロコシ、ノギナシセイバンモロコシ

セイバンモロコシ20150922堺市.JPG
セイバンモロコシ 2015.9.22 堺市


なんばん [な行]

 「蛮(ばん)」あるいは「南蛮(なんばん)」は、本来は、漢民族が南に住む未開民族に対して用いた蔑称である。中華思想を取り入れた古代日本では、同様に「蛮」を南方の地域の別称として用い、日本書紀では、神功皇后記に百済の南海、今でいう済州島を指して「南蛮」が、持統天皇記に、種子島を指して「蛮」が用いられているのが確認できるが、広く、鹿児島県西方の甑列島(五色島)、南方の吐噶喇列島(薩摩七島)から沖縄(琉球)に連なる南西諸島を指したようである。しかし、16世紀になると、日本を訪れるようになったポルトガル人やスペイン人を南蛮人と呼び、南蛮貿易が行われるようになる。貿易により得られた文物は南蛮渡来とされ、異国風で物珍しい文物の代名詞となった。
 南蛮を名前に持つ植物は13種を数えるが、南西諸島を分布域とすることにより命名されたと考えられるものに、ナンバンホラゴケ、ナンバンアワブキ、ナンバンキブシ、ナンバンツユクサ、ナンバンキンギンソウの5種と、外来種ではあるが南西諸島に定着したナンバンコマツナギ、ナンバンアカアズキ、ナンバンルリソウの3種が挙げられる。外国から来たという意味で命名されたものとしては、中国からの渡来であるがナンバンカラムシがある。ナンバンギセルは日本に広く分布するがその形態がパイプに似ているから。そして最後はナンバンハコベ、この植物、北海道から九州まで分布するが、花の形が変わっているので、外国から来たものと勘違いされたらしい。

<なんばんが付く植物>
ナンバンホラゴケ、ナンバンアワブキ、ナンバンカラムシ、ナンバンキブシ、ナンバンツユクサ、ナンバンハコベ、ナンバンギセル、オオナンバンギセル、シロバナオオナンバンギセル、ナンバンコマツナギ、ナンバンアカアズキ、ナンバンルリソウ、ナンバンキンギンソウ

ナンバンギセル20140915曽爾.jpg
ナンバンギセル 2014.9.15 奈良県曽爾高原

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