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まきの [ま行]

  植物名となった実在の人物が20人ちょっといる。半分は歴史上の人物である。そして、残り半分は植物学の関係者であり、後の研究者が先達に敬意を表し献名したものである。その中で「まきの」といえば、牧野富太郎博士のことで、日本の植物学の父とも言われる牧野博士の名前は、マキノスミレとマキノシダに付いている。
  日本の植物を研究した外国人としてはシーボルトやマキシモヴィッチが知られる。シーボルトはシーボルトノキ(Rhamuns utilis)に名を残す。この木は中国原産だが、牧野博士が長崎出島のシーボルトの居宅で見付けて名付けたものである。マキシモヴィッチの名の付く植物はないが、助手として働いた須川長之介の名がチョウノスケソウにある。そして植物のみならず博物学の父と言われるリンネの名はリンネソウとしてある。またエキサイゼリとは、博物大名として知られる富山藩主前田利保の号「益斎」をとって牧野博士が命名したものである。
  牧野博士は多くの植物の名付け親となったが、スエコザサは牧野夫人である壽衛さんに捧げられたものである。

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写真:マキノスミレ 2007.3.31 岐阜県可児市鳩吹山

ねこ [な行]

猫が付く名を持つ植物は、環境庁のリストによれば別名も含め44種と、犬の231種に比べればはるかに少ない。
44種の内31種はネコノメソウの仲間である。蒴果が裂開したところを猫の細くなった瞳孔に見なしたものとされる。9種はネコヤナギの名を持つものである。冬芽の芽鱗が脱げ落ちて現れる花序は、ふっくらとした銀毛に覆われ猫のしっぽのようである。また2種はネコノチチの名を持つ。その果実の形が猫の乳首に似ていることによる。
これら以外は少数派である。ネコノシタ(標準和名ハマグルマ)の葉は分厚くて表面がざらつき猫の舌のようである。ネコハギは「毛が多いことからイヌハギに対して」と牧野富太郎博士は言う。犬に対してというならば、イヌシデに対するネコシデ、果穂が猫の尾に似るとも言う。虎に対してというならば、ミズトラノオに対するミズネコノオがありしっぽ状の花補を付ける。なお、ネコヤマヒゴタイという植物は、広島県の比婆山系猫山で最初に発見されたことによるもので猫そのものではない。
蛇足だが、猫じゃらしと呼ばれるエノクログサの仲間には猫が付く名を持つものはない。ちなみにエノコログサは犬の子草の意である。
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写真:ネコノメソウ 2008.3.27 愛知県瀬戸市海上の森

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