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くりん [か行]

 「くりん」という言葉が付く植物には、サクラソウ科のクリンソウとタデ科のクリンユキフデの2種がある。この「くりん」は九輪と書き、五重塔の屋根から天に向かって突き出たアンテナのような金属製の部分である。この部分、正確には相輪(そうりん)といい、九輪はその一部である。
 五重塔などの仏塔は、お釈迦様の遺骨などをおさめた土盛りの塚であるストゥーバが、インドから中国を経て日本に伝わる過程で木造の塔となったものである。相輪は、本来のストゥーバ部分に相当する。その一番下の四角い部分を露盤、その上のまんじゅう型を伏鉢といい土盛りであった部分である。さらにその上に、請花、九輪、水煙、竜車、宝珠と続く。九綸は、宝輪というリングが9個積み重なった形をしており、五大如来と四大菩薩を表すという。
 クリンソウは段々につくその花の形を九輪にみたてたものである。山中でこの花に出会う時、とても厳かな気分となる。命名者に賛同の意を表したい。一方、クリンユキフデは、筆の穂先のようにかたまって咲く白い花を雪筆、段状に着く葉の形態を九輪ということだが、九輪は言い過ぎだろう。
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クリンソウ 2003.5.22 宮城県川崎町
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相輪(法隆寺五重塔)

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