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かずら [か行]

  「かずら」は、つる植物の総称で【葛】あるいは【蔓】の字をあてる。かずらに関連する記述がすでに古事記にあり、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が天の岩戸に引きこもった際に、踊る天宇受売命(あまのうずめのみこと)の装束の説明に2種類のかずらが登場する。“天宇受売命、天の香山の天の日影(ひかげ)をたすきにかけ、天の真折(まさき)をかづらとして”1)という記述で、日影はヒカゲノカズラ、真折はテイカカズラ2)と考えられている。つる草や花などを頭髪の飾りとしたものが「かづら【鬘】」であり、今でいう「かつら」である。
 スイカズラ、サネカズラなど、かずらが名前に付く植物は80種を数える。ただし、つる植物の名称としては「つる【蔓】」の付く名称を持つものが多く120種ほどある。
  「かずら」、「つる」の他にもつる植物を総称する言葉がいくつかある。ひとつは「つづら」で漢字にすると同じく【葛】、籠の材料になるつる植物でありオオツヅラフジ(別名ツヅラフジ)が代表的だが、「ふじ【藤】」もつる植物を総称する用語であり、昔はつる植物を、草本、木本とならびで藤本と呼んだ。なお、クズは特定の植物名であり、本来、吉野の国栖(くず)に産することから‘くずのかづら’であったものが短縮されてクズとなるのだが、漢字は【葛】をあてるのでややこしい。

1)古典の植物を探る、細見末雄、八坂書房
2)ツルマサキ、サンカクヅルとする説もある。

ヒカゲノカズラ八曽山080523.JPG
ヒカゲノカズラ 2008.5.23 愛知県犬山市八曽山

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