SSブログ

おに [あ行]

  鬼(おに)が付く日本の植物を拾い上げてみたら70種を数え、さらに帰化植物を10数種類加えることができた。このように多数の植物に名が付くからには、日本人にとって鬼は古くからなじみの深い存在だったのであろう。桃太郎の鬼退治の昔話から子供向けに残虐なシーンが消え、節分の豆まきの鬼はお面をかぶったお父さんとなってしまった現代では、鬼にペーソスすら感じてしまうが、鬼はもともと邪悪で恐ろしいもの、そして強いものの代名詞でもあった。
  植物の世界でも、その姿形が、荒々しいものが鬼とされているものが大多数である。たとえば、イネ科のウシノケグサには、同属にやや大型のオオウシノケグサがあるが、さらに大きくごつい感じがするのがオニウシノケグサである。また、オニノゲシの名の由来はノゲシよりもトゲが荒々しく痛いからである。実は、オニウシノケグサもオニノゲシも帰化植物であり、オニが付く帰化植物が増えつつあるようだ。在来の植物では、全身トゲに覆われたオニバスなぞが、鬼の名に相応しい。鬼の皮膚はこんなだろうかと思ってしまう。
  同じ鬼でも意味が異なるものに、ジンチョウゲ科の低木オニシバリがある、これは「鬼縛り」の意味であり、その丈夫な樹皮は鬼を縛ることも可能というわけだ。また、オニユリはその花を赤鬼の顔と見立ててついたものである。

オニバス20110820岐阜県海津市(植栽).JPG
オニバス 2011.8.20 岐阜県海津市(植栽)


この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。