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さる [さ行]

 猿(さる)は動物の中では各段に頭が良く、その仕草も人問的で、昔話やことわざに登上する頻度が高い。その割に植物名に「さる」が使われている例は少ないのだが、使われる理由がおもしろい。サルトリイバラは「猿獲り茨」であり、山に入って薮こぎをするとトゲだらけのツルが全身にまとわりついて、かなり手痛い思いをする。猿でもてこずりそうである。サルカケミカン(猿掛け蜜柑)も同じ様な意味合い。サルナシ(猿梨)はキウイフルーツの仲間で実はとてもおいしい。カラスやヘビなど他の動物名が付くものとは大違いである。ちなみにキウイフルーツの和名はオニサルナシ(鬼猿梨)。正確にはインドシナ原産のオニサルナシを原種として品種改良したものである。サルメンエビネ(猿面海老根)の赤褐色の花は猿の顔のようである。サルスベリ(猿滑り)はツルツルの幹肌から。ウスバサルノオ(薄葉猿尾、別名:ホザキサルノオ)は猿のしっぽのようなツルから。なおこの植物は熱帯アジア原産で沖縄にも生育するとされるが、自生種なのか帰化種なのかよくわかっていない。サルマメ(猿豆)は、マメの仲間ではなくサルトリイバラを小型にしたような植物、小さいという意味でマメサルトリイバラだろうか。
 ずばり猿ではないが、ヒメサルダヒコ(姫猿田彦)は古事記に登場する猿田彦命から。猿田彦命は天孫降臨の際に瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を道案内した地上の神で、鼻が大きく天狗の原型ともいわれる。ヒメサルダヒコはコシロネ(別名:サルダヒコ)の茎が枝分かれするものに付けられた名前だが、現在はコシロネに統一されている。どこかに猿田彦命の大きな鼻のような部位があるのかと思うが発見できない。サルクラハンノキは八甲田山の猿倉で採取され新種登録されたものだが、現在はミヤマハンノキの葉の奇形とされている。最後にオクヤマサルコとテリハサルコ、オクヤマサルコはオクキツネヤナギの別名、テリハサルコはキツネヤナギの変種だが、サルコは猿子(子どもの着る綿入れ袖無羽織)だろうか、よくわからない。
(補)イタヤカエデの変種のエンコウカエデの猿猴は猿も猴もサルの意、深く切れ込んだ葉の形を猿の手に見立てたもの。キンリュウカの変種のエンコウソウも猿猴草で、茎が水平に広がる様子をテナガサルに例えたというが真偽は不明。

<猿にちなんだ名が付く植物>
サルナシ、サビサルナシ、シマサルナシ、サルカケミカン、ウスバサルノオ、サルスベリ、ヤクシマサルスベリ、シマサルスベリ、 サルマメ、サルトリイバラ。オオバサルトリイバラ、オキナワサルトリイバラ、トキワサルトリイバラ、ハマサルトリイバラ、サルメンエビネ、オクヤマサルコ、テリハサルコ、サルクラハンノキ、ヒメサルダヒコ

サルトリイバラ2010411各務原.jpg
サルトリイバラ 2010.4.11 各務原市自然遺産の森

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