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せんのう [さ行]

 ナデシコ科センノウ(lychnis)属のフシグロセンノウ、エゾセンノウ、マツモトセンノウ(マツモト)、オグラセンノウ、エンビセンノウの「せんのう」の大本は、中国原産のセンノウ(lychnis senno Siebold et Zucc.)である。シーボルトにより日本からオランダに持ち帰られ、sennoという学名で『Flora Japonica』に収録されたこの花の日本への渡来時期は定かではないが、室町時代から文献にこの花が登場するようになる。「せんのう」は「仙翁」で、その名の由来は、『下学集』(1444年)に「仙翁花。嵯峨仙翁寺、始めて此の花を出だす、故に仙翁花と云う」との記述がある。仙翁寺は、『拾遺都名所図会』(1787年)に紹介される名所のひとつで、「愛宕一鳥居のまへ、仙翁町の北山下にあり、上古此地に仙人住しなり後世寺となす。仙翁洞は此山腹にあり、草花の仙翁華(せんをうけ)は此地よりはじめて生ずるといふ」とある。仙翁寺は廃寺となり現存しないが、京都は嵯峨鳥居本に仙翁町という地名が残る。

注)『下学集』:室町時代に成立した百科事典のようなもの。
『拾遺都名所図会』:名所図会は江戸期に出版された観光ガイドのようなもので、これは京都版の続編。


フシグロセンノウ2014大和葛城山.JPG
フシグロセンノウ 2014.9.11 大和葛城山

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