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かてん [か行]

 カテンソウは「山渓ハンディ図鑑 野に咲く花(林弥栄監修1989)」をみると、“花点草”と表記されている。“加天草”と書くと、これはケナシサルトリイバラ(Smilax glabra、別名:山帰来)のことになる。さてこの“花点”、「野草の名前 春(高橋勝雄2002)」では、“花あるいは雄しべが点のように小さい”からと説明している。なるほどそうだが、いかにも後付けっぽい。牧野日本植物図鑑改訂版(1939、初版1930)には由来不明とあるので、比較的最近の後付けのようだ。
 「植物和名語源新考 新装版(深津正1995、初版1976)」に詳細な記述があった。深津氏によると、カテンソウが日本の書物に最初に登場するのは、「物品識名拾遺(水谷豊文1825)」で、“カテンサウ”と記載され漢名はない。中国では、「植物学大辞典(上海商務印書館1918初版)」に“高墩草”があり、江戸時代の渡来中国人にこの草の名を尋ね、その発音“Kau tung chaw”を日本流かな書きにしたのがカテンソウであろうとしている。“墩”は、“土盛り・小山”の意味なので、カテンソウは土手に生える草と解釈できる。
 しかし、最近の中国語の植物図鑑に“高墩草”の表記はなく、中国高等植物図鑑第1冊(中国科学院植物研究所1972初版)では“花点草”、「台灣高等植物彩色圖誌 第三巻(應紹舜1988)」では“花點草”となっている。これは、おそらく日本で作られた漢字名が中国で採用されたものであろうが、“花点”が日本で使われ始めたのが、いつなのかわからない。そして、本来の漢名“高墩草”はどうなってしまったのだろう。
<カテンの付く植物>
カテンソウ、ヤエヤマカテンソウ

カテンソウ030406八菅山.JPG
カテンソウ 2003.4.6 神奈川県愛川町八菅山

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