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いぶき [あ行]

  山の名前を冠する植物は数多いが、どの山が一番かと言えば、それは伊吹山である。標高は1377m、滋賀県米原市の岐阜県との県境部に位置するその山は、北方系の植物、南方系の植物、日本海の要素、太平洋の要素の接点となり、山頂部の草原は草本植物の宝庫となっている。伊吹の名を冠する植物が多いのは種類の豊富さに加えて、伊吹山が古くから薬草採取の地として本草学者によって調査され、最初の発見地となってきたからである。
  イブキと名のつく植物は、環境庁のリストには27種が記載されており、うち伊吹山固有種とされるものは、コイブキアザミ、イブキコゴメグサ、イブキタンポポ、イブキレイジンソウの4種である。また、イブキカモジグサはヨーロッパ原産であるが日本には伊吹山にしか分布がなく、織田信長が宣教師に命じて薬草園を作らせた際に持ち込まれたものとされている。
  伊吹山に分布がない植物もある。イブキゼリは、江戸時代の本草学者の絵図に登場するが、その後明治の植物学者によってイブキゼリに対してつけられた学名が、別種の標本をタイプとしたものであったため、伊吹山には産しないこととなった。
  また針葉樹のイブキも伊吹山にはない。イブキとつくとすべてが伊吹山由来と語られるが、この針葉樹イブキの名は、伊吹山とは無関係の由来が前川文夫東大名誉教授により唱えられている。それを簡単にいうと、イブキはもともとはイブキカシワで、このイブキは「湯気」、カシワは「炊ぐ葉」で、弥生時代に蒸し器として使われた底に穴の開いた土器の穴の栓に使われたからという。

<名前にイブキが付く植物(環境庁リスト1988)>
イブキシダ、オオイブキシダ、イブキ、イブキトラノオ、イブキレイジンソウ(固有種)、イブキトリカブト、イブキハタザオ、イブキシモツケ、ホソバノイブキシモツケ、イブキフウロ、イブキタイゲキ、イブキスミレ、イブキセントウソウ、イブキボウフウ、ハマノイブキボウフウ、イブキゼリ、イブキジャコウソウ、イブキコゴメグサ(固有種)、イブキクガイソウ、コイブキアザミ(固有種)、イブキアザミ、イブキタンポポ(固有種)、イブキカモジグサ(欧州産)、イブキトボシガラ、イブキヌカボ、イブキソモソモ、イブキザサ

イブキフウロ100828伊吹山.JPG
イブキフウロ 2010.8.28 伊吹山


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