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がんぴ [か行]

  岐阜に、水に浸して扇いで涼をとったという風雅な「うちわ」がある。水うちわと呼ばれるこのうちわには、半透明の手すきの美濃和紙が貼られている。この和紙は「雁皮紙(がんぴし)」という最高級の和紙で、古くは遣唐使となった最澄により中国への土産として持参され、また第一次世界大戦の講和条約であるベルサイユ条約の条文用紙には、鳥の子紙という越前産の雁皮紙が使用された。回りくどい説明となったが、この雁皮紙の原料がジンチョウゲ科の落葉低木「ガンピ」である。雁皮は当て字である。そもそもガンピは何かというと、雁皮紙を古くは「斐(ひ)」といい、そこから「紙斐(かみひ)」という言い方が生まれ、転訛して「がんぴ」となったと「大言海」には記載されているが、他の説もある。
  ガンピが付く植物はジンチョウゲ科にガンピの他、12種 [シャクナンガンピ、ミヤマガンピ、コガンピ、タカクマキガンピ、サクラガンピ、オオシマガンピ、ミトガンピ、キガンピ、ウスゲキガンピ、シマサクラガンピ、オガサワラガンピ、アオガンピ] がある。多くは紙の原料となるようだが、コガンピは紙にならないのでイヌガンピの別名がある。ミソハギ科のミズガンピは、沖縄の海浜植物であり、同じく沖縄の海浜植物のアオガンピに似ているから。
  また、ナデシコ科にセンジュガンピがあるが、これは中国産の園芸植物「岩菲(ガンピ)」の仲間である。こちらの岩菲の由来についても定説はない。中国ではガンピのことを剪春羅や剪夏羅と呼んでおり、岩菲は日本で着けられた名前のようである。「菲」は中国ではダイコンやオオアラセイトウのことを指すようであり、花が似ていないこともない。しかし、岩菲は岩場に咲く花ではないので、命名者の意図がつかめない。

ガンピ100529八曽.JPG
ガンピ 2010.5.29 愛知県犬山市八曽山




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