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つぼ [た行]

  「つぼ」が「坪」であるのか、それとも「壺」であるのか、それが問題だ。「坪」は土地面積の単位であるが、建物や垣で囲まれた一区画の土地を指す。中庭の意もあり、小さな中庭を指して坪庭という言葉もある。転じて宮中の部屋を意味するが、源氏物語では桐壺と「壺」の字を使うのでややこしい。植物名に坪がつけば、「庭に生える」という意味に解釈したい。一方、「壺」は、底と口がすぼまった入れ物のこと。花や葉の形が似ているので名前になるのは、植物名ではよくあるパターンである。
 さて、「つぼ」が付く植物は全部で27種。スミレ科が最大派閥で20種あり、うち18種がタチツボスミレの仲間、2種がツボスミレ(別名:ニョイスミレ)の仲間である。そして、これらの「つぼ」は「坪」と判定される。スミレの多くは本来、人里の植物であり、昔は庭先に咲いたであろうことは容易に想像できる。タチツボスミレは現在でも、里地で最も目にすることの多いスミレであり、牧野富太郎によればツボスミレとは本来タチツボスミレを指したという。
次なる派閥は、ゴマノハグサ科のヒナノウスツボの仲間で5種ある。ヒナノウスツボは壺状の花を付けるので、この「つぼ」は「壺」と思われる。ただし「ウスツボ(臼壺?)」の意味はわからない。
  そして残りが、セリ科のツボクサの仲間2種である。ツボクサには、どこにも壺を思わせる形のものはないので、消去法では「坪」となるが、この草が庭にあるのは見たことがない。ツボクサの「つぼ」が「坪」であるのか、それとも「壺」であるのか、それが問題だ。

[スミレ科:エゾノタチツボスミレ、ケナシエゾノタチツボスミレ、テリハタチツボスミレ、ツルタチツボスミレ、タチツボスミレ、コタチツボスミレ、イソタチツボスミレ、ケタチツボスミレ、オオバタチツボスミレ、オオタチツボスミレ、ケオオタチツボスミレ、ニオイタチツボスミレ、ケナシニオイタチツボスミレ、ナガバタチツボスミレ、ケナガバタチツボスミレ、アイヌタチツボスミレ、アポイタチツボスミレ、イワマタチツボスミレ、ツボスミレ、ミヤマツボスミレ。セリ科:ツボクサ、アツバツボクサ。ゴマノハグサ科:ヒナノウスツボ、エゾヒナノウスツボ、ハマヒナノウスツボ、オオヒナノウスツボ、サツキヒナノウスツボ。]

タチツボスミレ100411自然遺産の森.JPG
タチツボスミレ 2010.4.11. 岐阜県各務原市自然遺産の森



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