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もち [ま行]

 “もち”といえば、お米でつくったお餅を思い浮かべるが、植物の名前についた“もち”で、餅といえるのはユキモチソウ(雪餅草)だけのようである。
 モチノキの“もち”は「とりもち(鳥黐)」の意味であり、モチノキの樹皮から鳥黐をつくったことによる。モチノキの他にもツチトリモチは鳥黐の材料となるのでその名がある。これら以外に“もち”がつく植物はモチノキに形状が似ていることに由来するものが多く、バラ科のカナメモチの仲間やホルトノキ科のコバンモチの仲間、モクセイ科のネズミモチの仲間がある。モチツツジは、新芽・蕚などに腺毛が多く鳥黐のようにねばつくことによる。
 上記以外の“もち”は“~もち”という形で使われる「持ち」である。コモチシダ、コモチマンネングサなどの「子持ち」は無性芽やむかごを着けることによる。食虫植物イシモチソウは虫を捕まえる粘液で石も持ち上げるから。オオカサモチには大きな傘のような花序がある。ところが、ミミモチシダAcrostichum aureumには耳がない。学名のaureumは“黄金色の”という意味なのだが、これをauriculatum“耳片のある”と読み違えたのがことの起こりという(岩槻1992)。

<“もち”の付く植物>
(餅)サトイモ科:ユキモチソウ.(黐)モチノキ科モチノキ属:ムニンモチ、シイモチ、アマギヒイラギモチ、ツゲモチ、ツゲモチ、モチノキ、イヌモチ、エナシモチノキ、ナリヒラモチ、ヒメモチ、ホソバヒメモチ、リュウキュウモチ、シマモチ、アツバモチ、クロガネモチ、オオシイバモチ.ツチトリモチ科:キュウシュウツチトリモチ、リュウキュウツチトリモチ、ミヤマツチトリモチ、キイレツチトリモチ、ヤクシマツチトリモチ.バラ科:カナメモチ、オオカナメモチ、シマカナメモチ.ホルトノキ科:コバンモチ、ナガバコバンモチ.モクセイ科:ネズミモチ、シロミネズミモチ、ケネズミモチ、ハイネズミモチ、ムニンネズミモチ.ツツジ科:モチツツジ、シロバナモチツツジ.(子持ち)シシガシラ科:イズコモチシダ、コモチシダ、ハイコモチシダ.オシダ科:コモチイノデ、コモチナナバケシダ.ベンケイソウ科:コモチレンゲ、コモチマンネングサ.キク科:コモチミミコウモリ.イネ科:コモチオオアワガエリ.(石持ち)モウセンゴケ科:ナガバノイシモチソウ、イシモチソウ.(傘持ち)セリ科:オオカサモチ.(耳持ち)イノモトソウ科:ミミモチシダ.

イシモチソウ20090604岐阜県多治見市.JPG
イシモチソウ 2009.6.4 岐阜県多治見市


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