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やま [や行]

  桃太郎の昔話では、おばあさんは川に洗濯に、おじいさんは山に柴刈にでかける、この山は地形的な山を意味しているわけではなく、畑(ノラ)や集落(ムラ)に隣接する雑木林(ヤマ)、今に言う里山である。植物の名前に付くヤマも概ね里山にあるという意味で、地形的な山を意味したい時には、ミヤマ(深山)、オクヤマ(奥山)という言い方をする場合が多いように思う。
  とはいえ「山」の付く植物はとても数が多い。単に「ヤマ」という音を含む植物は500を超え、そこから深山、奥山など意味の異なるもの、地名、山岳名などを除いても100弱の植物が残る。残されたものを眺めてみると、その中には「山にある」という意味だけではなく、栽培種に対し「野生の」という意味が感じられるものがある。栽培種にその名を奪われ、本来の名に山を付けて区別されたようだ。
  ヤマナシはこれを原種として現在の梨がつくられたとされる。ヤマガキは栽培されるカキノキ(柿)の変種に分類され、カキノキは奈良・平安時代に伝来したとされる。ヤマグワは養蚕のため中国から持ち込まれたマグワ(トウグワ)に対し、ヤマウルシは漆塗のために樹液を採取するウルシ(中国原産)に対し、付けられた名のようだ。ヤマモモ、ヤマブドウも同じような歴史があると思われる。
  ヤマザクラは日本に11種ある野生の桜のひとつだ。ソメイヨシノが普及する明治期まで、桜といえばこのヤマザクラのこと、しかし、この桜、江戸時代から山桜と呼ばれている。品種改良され里に植えられる里桜に対し、山に自生する桜の代表ということらしい。

ヤマザクラ090409吉野山.JPG
ヤマザクラ 2009.4.9 奈良県吉野山
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